つないでゆく
岡部淳太郎


――水道橋、詩の練習



つないでゆく
これから来るもののために
  それを信じて
つないでゆく
見極めて
(生き急ぐことなく)
後の者のために
いまこの場所に立つ

つないでゆく
そのことで訪れるものを
  それを願って
つないでゆく
(陽炎のように上る)
次の時を待ちながら
それがはっきりと見えてくるように
いまこの場所で立つ

そうしてつながれたものが
連なって 見えない鎖のように
次の者へ 次の者へと
つないで 継いでいって
ひとつの形となる時

無人の野に
ある速度を持ったものがはずむ
左右から追ってくる者たちを
振り払って
引き離して
そしてまるでそれが
(当然の結果)
であるかのように

私たちは
還ってくる



(二〇一四年九月)


自由詩 つないでゆく Copyright 岡部淳太郎 2020-02-23 18:23:28縦
notebook Home 戻る  過去 未来