最後の雨を待ってる
もとこ

灰色の空を見上げて
最後の雨を待ち続ける間に
きっとアタシたちの歴史は
色褪せてしまうのだろう

気がつけば無音になった街で
みんな空だけを見ている
鳥の瞳で、犬の瞳で、猫の瞳で、
(もう人の瞳はどこにもない)

それぞれの頭の中で
一斉にスマホの着信音
それでもみんな動かずに
足元から塩になっていく

しつこく鳴り続けたスマホが
やがて諦めて沈黙した後も
色彩を失った世界の表面を
覆い尽くした塩の柱たちは
やがて降りだすであろう最後の雨に
溶かされる時をじっと待ち続けている


自由詩 最後の雨を待ってる Copyright もとこ 2020-02-23 16:34:36
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