野ばら
うみ

たとえあなたをなくしても
それがあいすることならば
さよならをいえる
白いかもめのように
自由なあなたがうつくしいことを
世界じゅうのだれより
わたしは知っているから

たとえあなたにあえなくても
それがあいすることならば
わたしは歩いてゆける
ひとりぶんの孤独をかかえるのは
決してわるくない
野の花も風もあなたも
きっとわたしの一部だから

ひとのこころの 折れた翼や
にくしみでねむれぬ 夜の色を
まるごと愛せるほどのかなしみをください
まちなかでだれかを呼びとめるときの
せつなさとともに

もしもあなたをわすれても
いつかあいしたことがあったなら
わたしは生きてゆける
野ばらの一輪だって
ひとは手にいれたことがないから
こんなふうに誰かに
詩を書いたりする


自由詩 野ばら Copyright うみ 2020-02-22 19:21:10縦
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