俺の書くものは零点でいいからよ
こたきひろし

賭け事に才能なんて有るわけないさ
て言うか
ないからこそ
一度嵌まると底無しにのめり込む

酒好き
女好き
そしてギャンブルきちがいがいる

この世界には
そんな奴等が掃いて棄てたいほどいやがるんだ

だからよ
何も俺だけが悪いんじゃねえぜ

あっ違った
俺は酒も煙草もやらない
女は嫁さん一筋

品行方正なんだよ
ギャンブル一つ除いてはね

戦後の混乱期
まだヒロポンが合法だった頃
徹夜の賭け麻雀の間に
老人が腕に注射針刺してた
それは眠くならない薬
覚醒して元気の出る薬

映画「麻雀放浪記」のシーン
俺はDVDでそれを見て痺れたな

麻雀にのめり込んで頽廃的な生活に明け暮れる男たち

賭け金がなくなって
最後に自分の最愛の女を賭けてしまった中年の男
勝ってそれを手に入れた老人
負けてその場から出ていく中年の男
茫然として見送る女

別にそれを見たから
俺の博打好きに拍車がかかった訳じゃないが

痺れたな

この俺に博打の才能なんて有るわけない

ただただ俺の遺伝子に組み込まれていてしまっていただけさ

だけなのさ


自由詩 俺の書くものは零点でいいからよ Copyright こたきひろし 2020-02-22 08:15:47
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