善と悪の分別
こたきひろし

善悪の判断を持たない
子供の頃が懐かしい

捕まえた蛙の腹にストローを突き刺して
思いきり息を吹き込んだ

生き物をおもちゃにして遊んだ
そして殺した

後悔はしなかった
痛かっただろう
とか
可哀想なことしたな
とか
何も感じなかった

善悪の判断を持たない
子供の頃が懐かしい

自分より弱いものへの
冷酷で残忍な対応

捕まえた蜻蛉から
羽をむしり取った
そして躊躇なく
靴で踏み潰した

善悪の判断を持たなかった
子供の頃には
帰れない

善悪の判断に振り回される
大人となってしまった

良い大人の見本にならなければ
ならない
その為に
善人のマスクは
片時も外せない

真っ当に生きるというのは
そんな事か?
どうなんだよ!

疲れから
解放されたい

善悪の判断を必要としない
子供の頃が懐かしい



自由詩 善と悪の分別 Copyright こたきひろし 2020-02-21 00:28:19
notebook Home 戻る  過去 未来