オムツの交換
アラガイs

 

 
  天井をみつめる
    ( 私は宙に向けて大きく股を開いた )








……赤ちゃんあなた方は見慣れているから平気だろうけどやっぱり恥ずかしいですよ。こんな不様な格好で。僕らはいつも恥ずかしいことばかり言ってるけど私生活は違いますからね。ほら、同じ芸人でも仕事が終わると一言も口を利かないコンビだってある。残念なのは舞台で演じる芸人の姿と本当の自分を同じように扱われることなんです。もちろん、本当の自分を曝かれるほうが恥ずかしい。でもね、本当の自分をさらけ出すとは言ってみても、本当の自分の姿がどこに隠れてあるのかわからない。これは真実だ。と正気に言った時点で嘘をついている自分がもう一人いるのです。無意識にも意識が未分化に抑制された自我というやつでしょうか。まあ、そんなこと考えてみてもあたまの中のことですから。これは仕方ないことだとは思うのですが。僕らは大人になって自分の生理学的機能を人前で晒したことがないですからね。変態?変態とは場も違うでしょう。これがなんの抵抗もなくできるヒトには平気なのでしょうが。
ともかく裸ならばね。日本人でもあるし、素っ裸で湯舟に浸かる。見られることにそりゃ抵抗はありませんよ。しかし子供の時分ならともかくまだ若い大人のうちにはね。独り日常で隠れておこなう個人的な排泄行為。生理学的な機能をすべて見られることにはやはり抵抗はあるものです。特に検査とか、婦女子の方はそうでしょう?それにこれが、そうコイツですよ。これがもう使い物にならなくなったお年寄りならば、また話しも違うのでしょうけれど。笑。       …ええ、確かに付いてるモノは皆同じですからね。治療という目的がある限り、元来生理学的に考えても恥ずかしがることじゃない。仕方ないことだ。それはわかっていますよ。でも、見られること、それによって器の違いまでもが判断されることには抵抗を感じるのです。だから出したくてもどうしても出せない。臭いモノには蓋を閉じるように、どうしてもさらけ出すことができないのです。先生それにあなた方があたまの中を隠すようにね。     …いや、そろそろ替えてみますか。話しをしていればずいぶん気も楽になりました。でも、たぶん、出せていないと思いますよ。








自由詩 オムツの交換 Copyright アラガイs 2020-02-19 14:14:35
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