瞬間の王
山犬切

超越論的観光に出かけよう ガイガーカウンターを片手に

25℃で沸点に達し汗まみれランニングハイの火ここになき灰

長いこと放置してたらトルコ風アイスみたいになってたアイス(当然捨てる)

情況に吸引されてく錆びた日々 美少女ゲームで葬送の声

白いもののみの電車に乗っていて知らない駅で煙草を買った

太宰的木魚の音が鳴り響く 最も愚劣なるこの日常

今までにネットでオナニーした女の顔を忘れる義務が課された

最強対最強のバトルが好きたとえば 「塔矢行洋vs.sai」

ガザ地区を歩いてゆけばなんでしょうぶちまけられてこれは人間

行きつけのコンビニ店員がAphex Twinに激似 おにぎり買った

I wrote haiku about cannibalism 嘯いてからいつも詩を書く

ぶぶかという油そば見てふと思うそんな雑誌が昔あったな

ラーメン屋で硬めの麺を頼む俺 そこに<意味>はなく<価値>だけがある

xは好き でもxが好きな自分は嫌い そんな自意識分かるでしょう

主観・悦子は今年で23歳になる 死霊属性で不快に生きてる

ビニール傘の上に仏の怒髪天 図星流星群の五月雨

紙飛行機トランプタワーに突っ込んで散らばるカードにジョーカーはなし

様々な属性をトッピングした卑猥な動画を虚ろに見ている

教室の5メートルほどの果てしなさ 溝を流れる川のせせらぎ

泡ついた包丁を撫でる 終わりなき日常からの救抜をわれに

駅へ急ぐ光り輝く人の群れ 俺はこれから寝ます おやすみ

青空の崩壊って感じの景色 夕暮れの国へ旅を続ける


短歌 瞬間の王 Copyright 山犬切 2020-02-18 15:38:14
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