初春
石村



どういふことだ
まだ
ひとのかたちをして
星の上にゐる

急がなくてはいけない

廃村のはずれの小さな草むらに
菜の花が咲きはじめてゐる
……風にゆれてゐる
やさしいやうな
かなしいやうな
春にならうとしてゐる午後

俺はけだものになりたくて
おだやかな海にさけぶのだ

神なる者どもが降りてきて
俺らをのこらず 喰つてしまふ前に





自由詩 初春 Copyright 石村 2020-02-12 10:56:48
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