アマリリスの妖精
丘白月


春咲きの赤い花が
太い茎の先で私を見てる

大きな花の中で
妖精は座っている
花粉をちょこんと
鼻に付けて

窓を開けて風を招く
赤い帽子の妖精もどうぞ
ごくろうさま

大きな球根を埋めているの
わたし見てたのよ
月夜にいくつもいくつも
眠ってしまったけど
きっと朝まで植えてたでしょう

手のひらの妖精が
私の鼻にキスをしたら
金色の花粉がまつ毛に付いた

アマリリスの真っ赤な花は
温かくて流れる血のようで
とてもやさしかった


自由詩 アマリリスの妖精 Copyright 丘白月 2020-02-11 21:58:50
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