お母さんは壊れています
もとこ

お母さんは壊れています
だから私も壊れています
それは決して運命などではなく
残酷で客観的な確率の結果です

私が小さな赤ん坊だった頃から
お母さんは自分の狂気だけを愛した
空腹に泣き叫ぶ私を心から追放して
壊れた言葉をネットに撒き散らしてた

日ごとに小さくなっていく私と
日ごとに膨張していくお母さん
その残酷な対比のわずかな隙間で
私が生き延びたのは偶然に過ぎない

いま 望むなら母となれる歳になって
お母さんは私にとても優しくなった
まるで何事もなかったかのようで
やはり壊れているのだなと確信する

自分自身が不完全な人形なのに
どうしてお母さんは私を産んだのか
どうせ大人になった私から否定され
屈辱の牢獄に閉じ込められるのに

そんな想像力すらないからこそ
お母さんは平気でお母さんになった
その罪を永遠に告発し続けながら
私は野蛮な囚人として漂流する
いつか お母さんが輪郭を失って
偽りの涙を流せる日が訪れるまで


自由詩 お母さんは壊れています Copyright もとこ 2020-02-09 23:31:10
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