改札口
たもつ

改札口から人が出てくる
そんなこと言って
出てくるのが人である
時々そんなことがる
自分の部屋が改札口に直結している人は便利な反面
人の出入が多くて大変だし、退屈もするし
僕はそんな時
一日中、自動改札機を触って過ごす
そうしていると心の底から
自動改札機を触っていると思えてくる

上司はそういうところが気に入らないようで
注意事項が改札前の掲示板に掲示される
何が書いてあるか良く読むと
実は白紙で何も書いていないから
本当は上司なんて存在していないのかもしれない
なんて思っていると
改札口から出てくる上司がいる
自動改札機を触っているのを見ても
注意事項は掲示されないから
違う種類の上司かもしれない

上司が僕の布団を踏みならして行く光景を見るたびに
僕の部屋は改札口に直結していなくて良かった
と、安堵する
続いて僕が改札を出ると
守ってあげられなかった人が笑っている
一番良い笑顔で手を振っている
もういいよ、と言って欲しかった
言って欲しかったことは
何一つ言ってあげられなかったのに



自由詩 改札口 Copyright たもつ 2020-02-06 21:54:34縦
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