STILL YAMABUKI
カマキリ







巨大なロボットの神経をつなぐように
眼下には電車がうごめいている
わたしは忘れてしまいたいことだらけだから
ここにひとりでいるのかもしれない


夕暮れが不平等に影をちらして
まだら模様の人々を見ると無性に帰りたくなる
それでもやることだけはたくさんあるから
わたしのガイコツはいつかわたしを突き破る隙を探している


上着を脱ぐにはまだ寒いからいっそ凍ってしまえばいい
雲の先端が怖いからどんどん地下へ潜っていく
残された道は少ないけれど
なんにもないわけじゃあなくて
先細って行くそれがとても悲しかった


ポツポツと火が点くがここは地獄でもないから
同情するだけの優しいものに食い止められて
わたしはまだ帰れない








自由詩 STILL YAMABUKI Copyright カマキリ 2020-02-04 20:49:20縦
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