Physics Note 4
AB(なかほど)


37

始まりの終わりと終わりの始まりの
僕は始まりを待てない
君は終わりを待てない

言葉は完全なものではなく
心も完全なものなんてないので
いつでも



38

メインディッシュのひかりのマッハコーンを見て
俺も若い時分には、
つなぎ合わせた手の中にもあった って

無意識につぶやいたのが聞こえたのか
そのとおり
と みっちゃんが笑った



39

窓はない、最初からなかった
僕の心のすべては君にはなたれていて
君の心に包まれている

そこに
壁も垣根もなく窓なんてなかった
最初からなかった



40

ここにはもういなくなってしまった
ひとたちが
ときどき浮かんでくる

そのたんびに僕は
夕焼け 夕焼け
って詩を書き始める



41

三崎口行きに乗り込んだとんぼ
電車と僕と同じ速度で
すいとする

同じ状況を
相対速度で穏やかに説明してた先生
のことは好きだった



42

何を考えているのかわからない
と言われる
ならばわからないままでいい

言葉じゃなくて伝わること
伝えるべきこと
持ち続けるべきもの



43

わすれそなことわすれへんてようゆうわ
ひらめいてこれやがなゆうて
さんぽやったな

加速度て正も負もあるんやな
わすれたいことわすれへんても
ようゆうわ



44

もうすっかりといいかけてやめた
暖房は何時点けたか記憶もないけど
まだひざをかかえたまま

あの日が見えそうで見えない僕らは
窓の外の景色がもういいよ
もういいよというまで待ち続ける



45

雲の隙間からチンダルの梯子
その光に名前をつけたら
翼をひろげるように

君のこころは晴れているかい
きのうかわした約束は
僕も忘れた



46

そんなことあるわけないと
昔は気にもしなかったけど
21 mg だけ

計算が合わないという話
それ
今、聞かせてくれ



47

咲ちょる花ぬ露ん
欄干下ん流りうるん
バンタから落ちゅる滝ん

其々前ぬ生まり来ゃる世やさ
先刻帰ら彼処んかい帰ら
天ぬ弥勒世果報んかい



48

大好きなAさんとBさんと
違うからこそ
それが合わさってこそ

新しい向きが生まれんねん
新しい流れが生まれんねん
新しい世界が生まれんねん



自由詩 Physics Note 4 Copyright AB(なかほど) 2020-02-02 22:15:54
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