無題に
こたきひろし

誰だって気が触れる可能性を持っている

たとえば目の前で我が子が轢き殺されたり
たとえば
愛する女が
たとえば
愛する男が他の誰かに奪われたりしたら
誰だって冷静じゃいられなくなるだろう

もし、そんな場合においても
平静な心理状態でいられたら
その人の人間性を周囲が疑わかざる得ない
人格が破綻していると

勿論
周囲の眼を怖れて
本来の人格は隠し、演技する人もいるに違いない

人間の内面は複雑で迷路の様にいりくんでいるのが
普通だと思うからだ

誰だって気が触れる可能性を秘めている
正気でいられなく状況に至れば
それが自然だ
人としてあるべき生態だ

だけど
人間の内面は複雑で迷路の様にいりくんでいる
のも事実だし
けして一つには括れない
括ってはいけない
多様性を孕んでいることも事実だ


自由詩 無題に Copyright こたきひろし 2020-02-02 19:51:38
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