産まれた時から生まれた日から
こたきひろし

産まれた時から生まれた日から
人より多くが欠けていたから

きっと私は充たされていたんだろう
何だか辻褄が合わないな

産まれた時から生まれた日から
人から見下されたりはしないかもしれない
けれど

産んだ女と
産ませた男に欠けるものが多ければ
その時すでに
人から見下され虐げられる
荒んだ社会はけして否定されない

そのせいで
運命には皮肉が込められてしまうんだろう
冷酷で残酷なんだろう

産まれた時から生まれた日から
人より多くが欠けていたから
きっと私は充たされていたんだろう

そう解るまでに
かかった歳月
舐めた辛酸

いかなる言葉でもいいあらわせない
たどり着いた境地

それは諦念の導きかも知れない
或いは老境の幻かも解らない
それとも
言い訳か
負け惜しみか

産まれた時から生まれた日から
人より多くを欠いていたから
充たされていたんだろうという想念

そこにたどり着けた安らぎ


自由詩 産まれた時から生まれた日から Copyright こたきひろし 2020-02-02 07:52:23
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