何となく呟いている
こたきひろし

ずっと気になって仕方ない女性がいた

齢六十過ぎても
三十年連れ添った妻がいても
三十路近い娘がいても

他にずっと気になって仕方ない女性がいた

相手の女性もきっと結婚しているに違いないと思う
だけどもずっと気になって仕方ないのだ

男でも女でも
誰にでもそれはおこる感情だと思う

ずっと気になって仕方ない
何とかしたいなんて
思う事はあっても行動には移せない

言葉をかけるきっかけさえ掴めないでいる
お互い同じ職場だから
おはようございますとか、お疲れ様ですとかは言えるけれど

何とかしたいという思いには
唇を重ねたいとか
抱きたいとかが含まれているのは文字にするまでもない

齢六十を過ぎている

まだ枯れてはいない
なのに
夫婦生活は卒業していた

寂しさは募る

その反動で
気になる女性があらわれたに違いない

寂しさは募る

齢六十を過ぎても
卑猥の花は枯れない



自由詩 何となく呟いている Copyright こたきひろし 2020-02-01 07:36:54
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