飲みに行く
葉leaf

つぶさに歳を重ねていると、日々の幕開けによって勝利する太陽から投げ落とされるものが折り重なる。そのいくつかは目じりのしわとなり、そのいくつかは白い髪の毛となり、細胞が生き死にを繰り返すサイクルが少しずつ軋み始める。焼鳥屋へと向かう道の途中で僕は君の目を通して夜の街を眺めている。静かに照らされた道の上を君の足で歩いている。君の脳で感情を整理しようとすると何か拒むものがあり、結局君の感情の波には決して同期できないのだった。この断片で出来上がった隙間だらけの都市を高まった血潮で塗り上げると、光が光を呼び都市がさらに複雑に織り上げられていく。暖簾をくぐって酒を注文、焼鳥を食べながら少しずつ融けていく僕と君という氷塊。親しさを超えた親しさに至ると君の言葉は楽しげにあふれてくる。君を堰き止めている氷塊が融け切ると焼鳥屋は君の笑顔で充満する。僕たちは触れることなく触れ合って、交じることなく交じり合って、また一つ君というらせん階段を僕は少し登れたのかもしれない。


自由詩 飲みに行く Copyright 葉leaf 2020-02-01 03:44:40縦
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