夢追いびと・年負いびと
存ゑくべる

シャッターの降りた渋谷駅
俺たちはいっときの往生に浮かれ騒いでいた
生きることがあまりに長すぎて

なのに
なんの気まぐれか
俺はひとりになった

真夜中の交差点

ひとり撥ねられる

たったひとりで撥ねられ

Nobody だけが唯一の目撃者だった

ふらふらと立ち上がった若者は血にまみれ

壊れた腕時計をぼんやり見つめた

流れる血液と泡立つ喧騒の泥中

ひとりきりに始発の電車を待たなければならない

明けそまる街に取り残され

また、自分を置き去った夜を恨む

降りたシャッターにもたれて吐気に耐えるしかない俺は


自由詩 夢追いびと・年負いびと Copyright 存ゑくべる 2020-01-27 01:00:52縦
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