ゾンビ社長のとりとめもなく過ぎていく日々
山田せばすちゃん

もう僕は死んだと思つて諦めてと置手紙の日よりゾンビとなりぬ 

親元に連れ帰されたる若ゾンビ腐肉を隠して社長になれり
若ゾンビ社長となりて夏の日の銀行回りに蝿もたかれり

ゾンビとて妻娶りたるタキシードの奥に腐肉を押し込めつつも
新郎のゾンビに漂う腐臭をばオーデコロンにて塗りこめたりし
ゾンビにも子は生まれたり嬰児は美しかりき腐肉にあらず
母親をなくせしゾンビの眼窩より零れ落ちたる蛆虫の白

むき出しの肋骨指で辿りつつ寝物語をせがむ愛人
腐肉だと知りつつ胸にくちづけを降らしたりける愛人かなし
愛人を抱く腕も嬰児を抱く腕も尺骨の見ゆ
ゾンビにも妻子を持って愛人と暮らす権利を認めてください

放蕩の挙句ゾンビは跡を継ぎインターネットで短歌詠む日々


短歌 ゾンビ社長のとりとめもなく過ぎていく日々 Copyright 山田せばすちゃん 2005-04-09 00:14:35
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