春の歌
ミナト 螢

何かが終わる人も始まる人も
無条件に襲われた風を結んで
肩から掛ける鞄を持っている
初めて身体が側にあることを
ひとりになって分かるまでは
花の形が匂いを近付けて
だるまさんのように転んでも
瞳の縁をなぞりながら行く
時の繋ぎ目が歌い出すと
夢は時効になる前に救った
踏み切りを越えた向こう側に
家が無くても大人になれるよ
外側の世界で覚えた味は
身体が遠くに感じるような
真っ直ぐで曲がった光を
駆け上がりながら進んで
人の悩みが胸に抱かれた
春は無実になるほど柔らかい


自由詩 春の歌 Copyright ミナト 螢 2020-01-21 08:22:15
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