憧憬



光を見た
瞼は下ろしたままだったから、それはぼんやりとしていた
遠くの方で地面へとたどり着いたあと
弾けて消えて
あとには朝が残ったようだった


有り金をはたいて
青い鳥を買って
息を潜めて
夜明けを待った
そうして
救われる日のために
不幸の真似事をする

酷く干からびた
甘い日々を
繰り返し
繰り返し
咀嚼しながら
耳をふさいで
一人
さざなみを聞く


光があった
あたたかい、やわらかな、まるで触れられるもののような素振りで
ふやけたままの指先を掠めては
すり抜け、踊り、やがて消えゆくもの


それは、確かに光だった






自由詩 憧憬 Copyright  2020-01-11 16:24:10
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