工事中
ミナト 螢

喉にやまびこが届かなくなって
トンネルの前を近道するよ
錠剤みたいな苦さも持たずに
ミントのトローチ優しく積もり
熱で溶けたのか舌で溶けたのか
喉が帽子を脱ぐまで舐めていた
挨拶ができるようになるほど
さよならは言いたく無いから
トローチを噛んではいけないよ
誰かを止めてはいけないよ
歩くんだただ真っ直ぐに
視界を横切る猫に手を振り
走るんだそう一生懸命に
世界を夢見る人と汗を掻き
喉を開く時が来たんじゃないか
この暗闇を抜け出して


自由詩 工事中 Copyright ミナト 螢 2020-01-11 08:33:05
notebook Home 戻る  過去 未来