味噌ラーメン
灰泥軽茶

地方の町のラーメン屋
小汚くて愛想のない
何か独り言いっている
味噌ラーメンひとつと言っても
聴こえているのか無視されたのか
よろよろ歩くお婆さん
お客がひとりまたひとり
注文しても
ごうごうと茹であがる湯気と
かちかちと食器や鍋の音ばかり
やがて一杯小声ではいどうぞ
一口すすれば
ひととき忘れて味噌ラーメン
ごちそうさまと暖簾をくぐれば
夜空に輝くネオンの看板
路面電車のレールが鈍く
光り歌う町の雑踏と
静かな余韻




自由詩 味噌ラーメン Copyright 灰泥軽茶 2020-01-08 01:24:20
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