行く年くる年
石村



さだめなき世に
年古りて
なにひとつ
新しくもない
年がまたくる

十二月
三十一日
午後十一時
五十九分
五十と
五秒

冬の雨が
雪にかはり

廃屋の時計が
目をさます

ひとびとは美しい笑顔で
挨拶をかはし

除夜の鐘が遠ざかり
星がひとつ消える

行く年

くる年

どこへゆく

そつちには
なにもないぞ

なにもなくても
止まりやすまいが

俺ももう
お前さんを止める気は
さらさらない のだが

年越し蕎麦の
残りづゆを啜つて
猫にあいさつ

――今年もよろしく と


自由詩 行く年くる年 Copyright 石村 2020-01-01 00:11:02縦
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