十二月に十二首
こたきひろし

穏やかにただ穏やかに生きてたらそれでしあわせ木枯らしの空

亡き人に語りかけてる人みたい会うたび一人で何か言ってる

売る側と買う側となるコンビニで渡したメモは直ぐゴミ箱に

事務員のニシジマサンはひっそりと咲いてる花か影が薄くて

斎場は人里離れた山のなか師走の道を霊柩車いく

晩年は死後にならぬと分からない生きてる間の冬枯れの街

櫛の歯が抜けるみたいに人が死ぬ適齢期かな六十四歳

膀胱が縮んでしまう寒いから小便近いがトイレは遠い

文法も技法も粗末な俺の歌下手は下手なりそれでいいよね

朝晩に足腰痛む毎日も仕事となれば鉄人になれ

お年寄り仲間になりたくないけれど世間は俺を老人と見る

綺麗だなスタイルいいな見とれてもどうせ抱かせてくれませんから



短歌 十二月に十二首 Copyright こたきひろし 2019-12-28 11:57:34
notebook Home 戻る  過去 未来