雲の住人
mmnkt

やけどと化膿が同時に起こったような
波打つ赤い雲が道のようになって
遠くあの山まで伸びている
少しの風では
雲の流れを追うことは難しいが
ピントを合わせば
ゆっくりと流れているのが分かる
流れがないように見えるのは
(見えてしまうのは)
私にも思い込みという機能が備わっているからだ
雲は流れ
川は流れ
人も流れている

久しぶりに晴れたか
雲はまだ多いけれど青空が見える
ここ数日は嫌な天気だった
工場の壁のような雲が空を覆っていた
それでも隙間に
小さな小さな青空を見つけることもあった

私から見れば曇り空だったけれど
雲の上には青空があり
雲の住人にとっては晴れだったのだ
一つの状況でも
ポジションによって状況は異なる
雲の住人になれないのは別にいい
だってしょうがないから
だけども彼らの目をどうにかして
手に入れられたらと思う


自由詩 雲の住人 Copyright mmnkt 2019-12-07 17:42:39
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