喜び
mmnkt

胸に重しする神経の蓋が
外気を変換したエチレンの炎によって
じじじと燃やされて孔を開けられる
胸に溜まっていた喜びは孔から噴き出し
(喜びが在ったことにまず驚いた)
雷のように鋭く光って私を目覚めさせる
その視界の新鮮なことよ
辺りでは陸生の魚が空気を泳ぎ
景気良く太鼓の音が鳴る
落ちていく葉は華麗に舞い踊り
雨の子はガラスに付着して星の真似をする
(お遊戯会のようだ)
これらの出来事が一瞬のうちに
エキスのように私を貫通する
マイナス電流に飽きた守護霊の余興であったか
喜びは一瞬のうちに萎えしぼみ
保守的な銅により神経の蓋は修復され
再び私はパラノイアになる
心に青空を持たない人はいない
雲の厚さ、出来やすさ、剥がれやすさが
人によって異なるというだけだ
曇り空でも雲の上には青空が広がっているように
神経の蓋を退かしたならば
そこには喜びの発生装置があるだろう


自由詩 喜び Copyright mmnkt 2019-12-06 19:31:29
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