ピンク
ミナト 螢

僕達の耳は離れていても
ハートの片割れを探している
だから髪の毛で隠さないでね

風に震える柔らかいカーブを
何周すれば君に辿り着くの

脇目も触れず歩いてきた道に
ピンクの朝焼けが広がるから
その上を飛べるような気がした

まだ弱い光でも
薄い氷が解けていくのなら
ふたりで耳をつけていよう
世界が始まるまでは

息も届かない部屋があるほど
冷たくて熱い耳たぶの重さ
この隙間を溢れる体温で

一緒に愛した時間の全てが
蓋を開けて音を分けると

同じ朝焼けを乗せて輝いた
貝殻みたいに壊れたくはない


自由詩 ピンク Copyright ミナト 螢 2019-12-06 10:09:08
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