空腹の船室
幽霊

天秤に空箱と救急箱
犬がひたすら骨を噛んでいる
嵐の中の船室
窓が聞かすように騒ぎたてて
蝋燭の火が揺れてしまう

どうしても待ちきれず
宝箱に憧れる空箱はカタカタ震える

犬がひたすら敵の骨を噛んでいる

窓がよりいっそう騒ぎたてると
救急箱からはゴキブリが溢れだす

いずれ骨が明るい音をたてて噛み砕かれるとき
救急箱は使い果たされ
空箱が戦利品で満たされる

ほどなくして天秤が逆転していることに気づけばいいだろう



自由詩 空腹の船室 Copyright 幽霊 2019-12-02 08:55:00
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