冬の朝の光が痛みをうつくしくする
かんな

その膜を破ると
きらきらとこぼれ落ちる
母の痛みがうつくしかった。

ぎゅっと身体を縮める
握りしめられないものを握りしめ
抱きしめられないものを抱きしめる

ささやかな抵抗を繰り返した先の
空はひろく、きっとひろく
そこにあるのだろう
水たまりに薄くはった氷が割れて
冬が歌いはじめる

朝の光が反射して目を細めるその一瞬に
母を思い
母の痛みを抱き
そして、母を忘れる



自由詩 冬の朝の光が痛みをうつくしくする Copyright かんな 2019-11-28 17:30:37
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