北極星の猫
秋葉竹


猫って、美しい?
ビン、と伸びたお髭?
ピンッ、と天向いたお耳?
月のない夜に
恋人求めてミャアミャア啼く声は
お世辞にも美しい歌声とは
いかないけどね、

わがままっぽいけど
白猫のブルーの眼なんて
まるでお貴族さまみたいで
「そのままわがまま」でいいんじゃない、
とか
諦めてしまうし
愛を求めるそんな平和な生き物では
ないのです、と
あたくし、野生のかたまりなんですから
ッて。
かててくわえて、
にくしょく系ですからッて。

哀しみが美しいなんて
言うつもりはないのですけどね、

だから猫は、
愛を信じないのさ。


天上輝く、幾百の星座のなかで
魔性の猫座をご存知か?

人生の絶望を星観るものに向けて
降り注ぐものです。

猫座は、片方だけ
瞳を光らせていて
その瞳を
北極星と呼ぶのです。

私はかすかな声で言うんですけどね、
猫座って、猫の眼だけなら
星座じゃなくてただの
北極星、でいいんじゃない?

ねぇ、そうは思わない?


この瞳に、
出逢えなかったら
北極星でしょうけど
出逢ってしまったわたしやあなたは
それを
北極星と呼ぶことは
もはや出来ない

瞳のみ
光り輝かせる
ひとつっきりの猫座と
認めるよりほか
猫のプライドが守れない。

なんて、「そのままわがまま」な
生き物なんだろう?

猫、って。

まぁ、嫌いじゃあ、ないんだけどね。






自由詩 北極星の猫 Copyright 秋葉竹 2019-11-26 15:59:42
notebook Home 戻る