可笑しな切なさ
秋葉竹


べつに嫌いだとか
そんなことではないのです。

なんだか可笑しすぎて
笑いすぎて苦しくて、涙が出てきます。

しっかし、寒いなぁ、
カラダだけならまだいいんだけどね、
ココロまで冷え切った
初冬の孤り寝の夜長。

なぜあの人は
あんなに重たげな優しさを
自然なものだと嘘をついているの?

『寒すぎて寂しくなります』って
いやいや、それを聞くこちらの方が
両足が地面につかない
風船に乗ってるみたい、

嘘で人を刺すことが
まったくもって悪いだけのことと
いうつもりは無いのだけれど。

あの人の
優しさに潜む重たげな瞼を
真っ白なハタキではたいてやりたい。

大真面目な舌でつかれた嘘は
聞けば聞くほど切ない明るさに
照らされていて。

それでもう、
この身は寒くてたまらないのに
ただただ、
笑ってしまうしかないのです。







自由詩 可笑しな切なさ Copyright 秋葉竹 2019-11-25 23:30:57
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