夜間飛行だけ着けてる
もとこ

ふしだらな鱗粉を撒き散らして
夜の中を飛び迷うアタシたち
シーツの海原は遠く霞んで
二人の罪状も曖昧になっていく

「アタシたち遭難者みたいだね」
「むしろ亡命者だと思うんだけど」

戯れに中指の先を曲げれば
キミは荒馬を真似て首を反らす
きっと、その恥知らずな曲線には
大切な意味が隠されてるのに
早くなるリズムに思考を殺されて
またしても秘密は唇に溶けてしまう

「ねえ、方角は間違ってないよね?」
「大丈夫、何もかも間違ってないから」

世界の果てで燃え続けるという
赤いロウソクの聖なる焔に
抱き合いながら焼かれるため
夜の中を飛び迷うアタシたち


自由詩 夜間飛行だけ着けてる Copyright もとこ 2019-11-25 21:29:09
notebook Home 戻る