残された稲
mmnkt

刈り取られた田に
残された稲がある
穂を失くした稲が
何行何列にもなって
整列している

同じ背丈をした
穂を失くした稲たち
穂を支えてきた
立派な茎たち

彼らもまた変化していた
若々しい緑から
大人びた黄へと
季節に擬態するように

その残された稲でさえ
太陽の光を受けて
一面が黄金となる
なんて美しいのだろう

そこに風が吹いて
黄金が棚引くと
私の心が撫でられた

しまった
侵入禁止のはずだったのに


自由詩 残された稲 Copyright mmnkt 2019-11-21 19:11:49
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