ホテルの前に座っていた男
番田 


アイフォンを買っては売ってばかりいた
そして 手に残された機能の記憶
そして いくらかのはした金 
ベトナム旅行の写真を僕は見ていた


あの日僕はフォーを食べていた そして
まだ 買ったばかりだった財布をすられた
油断ならかった人々 そして
一見親切そうだった あの人の笑顔を思い出す


だけど やけに高い粉で 
入れた土産のコーヒーは美味しかったものだった
それを 飲みながら 一人
午後の通りの喧騒を見つめようとしてみたりする


ああ あの人は今 どうしているのだろう 
ホテルの前に座っていた男 彼は
部屋に案内はしてくれたが 僕の出た後で
部屋の鍵を開けていったのかもしれなかった


自由詩 ホテルの前に座っていた男 Copyright 番田  2019-11-18 01:32:08
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