エントロピーと鳥が鳴く 【都々逸】
ただのみきや

喚き散らすか痴情の縺れ 外でやらかす若さかな


奏でる風のグリッサンドに 音符くるくる降ってくる


風にカサコソ枯草語る 自慢じゃないが子沢山


箱を開ければびっしり絵本 親子見た夢なつかしい


たった一つの足りないものは お金で買える幸せか


詫びる気もなく錆び釘赤く 雨漏り続くわが心


詩は中身より歯ざわり味と 白黒つけぬ山羊の知恵


土偶のような仏頂面を 涙の壺とは誰が知る


冬の晴れ間を鴉が飛んだ 素早い影を踏み損ね


運動会の行進見れば なんば歩きの子が一人


父兄参加の競技へ向かう なんば歩きの父一人


親子で走る二人三脚 なんだか凄いペアがいる


白く濁った天の向こうに 目と目は合わず耳と耳


呼ぶ声聞いた訳でもないが 振り向く素振り猫に似て


積もり積もったおもい雪でも 根とは残らず吐息だけ


風がゆるめば雪はゆっくり 生にも死にも似て降りる


堕落も然り受容の一つ 気楽に往こう死への旅


揚げ足取りで浮かれて踊る よもやもうける鉦叩かねたた


かわいい女は架空の話 馬鹿な男が作り出す


馬鹿な男に合わせる女 嘘も真もさがのうち


きれいなままで嫌いと言って ずっと後悔させてくれ




             《エントロピーと鳥が鳴く:2019年11月16日》







伝統定型各種 エントロピーと鳥が鳴く 【都々逸】 Copyright ただのみきや 2019-11-16 12:26:27
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