凸凹
ミナト 螢

何もなかったと思うその場所に
横たわってる小さな虫歯が
少しの不安でぐらつくような
明日をまたいでどこへ行くのか

街は代謝する人は感謝する

この胸の中をバスが通るたび
眩しく光るライトが歯に染みた

麻酔が効いても薬が苦くても
味のわかる大人になりたくて
抜いたばかりの歯に重ねていく
過去を足したものは未来が握る

心にしまうプレゼントだけは
遠く離れたデパートで選んで
誰の指にも触れなくなるくらい
高い所から降らせてあげる

今日はいつもより優しく酔ってて
時計の音が気にならないんだ

痛みを手放したあの時から
数センチ先の夢を見ている


自由詩 凸凹 Copyright ミナト 螢 2019-11-15 06:35:05
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