破綻している
こたきひろし

天井から悪口が聴こえる
部屋の壁に人の眼がひそんでいて
たえず見られている

などと口にした

彼女の精神は破綻している
のかな

比べて
彼はその経済が破綻しかけていた


果たしてどちらが幸福で
どちらが不幸かを計る
物差しなんてない

そんなの
世の中の片隅にある
ほんの一欠片に過ぎない

現実はもっと残酷で冷酷で
社会のいたるところで
打ちのめされた者たちは悲鳴をあげているんだ

人の生きるは
苦しみの集まり
悲しみの玩具

社会のあちらこちらで
打ちのめされた者たちは
すくわれるあてのない悲鳴を
あげているんだ


自由詩 破綻している Copyright こたきひろし 2019-11-14 23:13:29
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