自分史(音楽事務所勤務時代13 ー 挫折)
日比津 開

 会員組織の拡充、企業・団体向けルート開
拓、ダイレクトメール発送関連の仕事は、社
長ご夫妻から全面的に任せてもらい、自由に
やらせていただいたが、軌道に乗ってきたこ
とから新人の社員に実務面を任せて、僕は新
たな仕事に取り組むことになった。スポンサ
ー開拓である。

 一流外来オーケストラ、オペラ、バレエの
招聘には非常なコストがかかり、数億円単位
のスポンサーを付けないと採算に合わず、開
催できない。特に命令を受けたわけではない
が、会社の会議の場で僕の知っている企業の
中でスポンサーの心当たりが多少あったので、
自ら志願して営業にあたることになった。

 3大証券の中の1社では大学の先輩が広報部
長をしているつてがあり、重役と会い次回以
降のベルリン・フィルのスポンサーの話しを
進めたことがある。また大手生命保険会社の
取締役と何回か会い、スポンサー開拓のアド
バイスをもらったりした。

 ところが、大口のスポンサーになりそうな
ところは、招聘の年には予算が合わなかった
りしてなかなか決まらなかった。またその頃、
山一証券や北海道拓殖銀行が破綻するなど、
時期が悪くなってきたこともある。
 
 一部上場の大企業、金融機関が倒産してい
くような経済環境になってきたことは、僕に
とっても大ショックでやっていく自信を喪失
していった。そんな中で、会社も社長の健康
状態や高齢のため数年後に会社を解散する話
しが出てきて、僕は仕事の帰りに毎日お酒を
飲まずにはいられなくなるなど、精神的にも
参っていった。



散文(批評随筆小説等) 自分史(音楽事務所勤務時代13 ー 挫折) Copyright 日比津 開 2019-11-13 04:03:20
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