無人島「梟石」
アラガイs


季節のない島には誰もかれもがやって来て、そして鳥のように消えていく
島の中央には工場らしき姿勢で大きく聳え立つ、この施設は時穴(ジーナ)とも呼ばれていた
それは単純に施設の内部が空洞化され、暗く静止していたことから時の人々は「洞窟」と解釈したのだ。
遙か昔、島の西側に住む人々はジーナのことを「希望」と呼び後世に伝えた。
埃の付着した命を物品と交換するために「禁」
目印はどこにも記されてはいなかった。

工場のあちらこちらに開けられた扉
それは東側に住む人々のために、
東側の人々はジーナが作り出すモノを「永遠」と呼び、置き去りにされた廃棄物を命と交換する
、扉はそのための密通でもあり物言わぬ鍵の羽根でもあった
西側から東側へ
ナビと輝く島の中央に漆黒の炎が降りそそいだ。

この島の、ジーナの周囲に「生きもの」と呼ばれるものはなく
ただ幻想を誘うように梟石の置物が座り
作られた加工製品は、毎日処理を施されては命と替わる
時間だけが無尽蔵に蓄積され、堆積し、眺めみる人々の姿もいまでは遠い
無人石を形成した島の中央には梟の形
赤ら顔に歪んだ空間の土壌だけが、その記憶を留めていた。




自由詩 無人島「梟石」 Copyright アラガイs 2019-11-06 03:10:10
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