自分史(音楽事務所勤務時代 6 ー ボーナス)
日比津 開

 チケット販売の実績によって、社長ご夫妻
は僕の仕事振りを高く評価し、好待遇を用意
してくれた。入社2年目、3回目で半期ボーナ
スが100万円を超え、次の回は150万円近く
いただいたのには、僕自身もびっくりした。

 業績が悪かった業界紙の記者時代には考え
られなかった金額で、年収ベースだと前職の
2倍以上になった。しかし、こうした待遇は
同年代で何年も先に入社したマネージャーよ
りも高いことが周囲の社員に知れ、反感をかっ
たこともあった。

 特に僕は社長夫人から気に入られ、良く指
示、相談を直接受けていたことも彼らからす
ると嫌な奴と思われていたのかも知れない。
ジャズのグループ会社の社長からも合同会議
の場などで、僕のことを誉めていただいたこ
とがあり、そうしたこともあって同年代の同
僚からも徐々に認めてもらえるようになった
ことは本当に嬉しかった。

 担当する仕事で会員の方からのご意見を聞
く機会が増えチケットセンターで話し合いの
場を設けたり、後には自宅に20名くらいの会
員を呼び、ホームパーティーを開いたことも
ある。このときはアルバイトに来てもらって
いた慶応義塾ワグネル・ソサエティ・オーケ
ストラのメンバーにバイオリンやクラリネッ
トの演奏をしてもらったりして、おもてなし
した。

 慶応や東大のオーケストラの公演があると
きには、アルバイトにきてもらう御礼のよう
な形で彼らの公演のチラシを会社のDMに同封
してあげたりして、チケットの販促に協力し
た。もちろん、彼らへも会社の公演のチケッ
トを紹介させてもらっていた。

 頻繁にチケットセンターにアルバイトにくる
子たちの何人かとは、良くイタリア料理、中華
料理、寿司店などにランチに行き、ご馳走した。
特に東大オーケストラでチェロをしていて部長
だった男の子とお茶の水女子大からアルバイト
にきていた女の子はお気に入りで、仕事以外の
話し合い、付き合いもする親しい仲になったり
した。




散文(批評随筆小説等) 自分史(音楽事務所勤務時代 6 ー ボーナス) Copyright 日比津 開 2019-11-04 16:16:57
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