ミナト 螢

抜け出したいこの単純な庭で
光を集める瞳を閉じても

草を刈り指を切る
それだけで

音もなく血が流れていくのは
ジオラマのように生まれ変わるから

心の中で作られた理想を
ユニットバスに沈めて戻すの

悪いことなんて何もしないのに
鏡の前に立つと見透かされる

うまく剃れずに失敗したんだね

両手に残るワックスみたいに
短くなった髪の毛を撫でると
ハネた場所がおとなしくなるまで
いつもより少し目線を下げた

外に出るのが怖い今日だって
カミソリ負けの肌を晒しても

人は生きる水はうまい
それだけが

凸凹の朝にけじめをつける


自由詩Copyright ミナト 螢 2019-11-03 06:48:57
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