夜の優しさ
秋葉竹


夜は暗い

暗いから
星が眺められる

僕の声の金属的なノイズでは
星を表現することなどできない
無残な



ふと新しい湖の夢を見る


その湖畔に咲いた
可愛い真っ白な花を
摘むことの罪悪を想い
その罪にこの身を委ねたくなる
か細い糸のように切れそうな

世界







夜は

その暗闇に
彷徨う慰めがふと立ち止まり
子どものように大声で泣き出したから

少しあたたかな月光を
君の救いに照らしてくれる

その罪を救おうとする優しさは
無限の数えきれない星の数だったりする


夜の慈愛を世界が浴びて
気がつくと

いつのまにか
無条件の優しさを
味わうことに耐えられない
夢追い人がいたようだ

たしかな微笑みを浮かべて
僕との荒野の道行きを
待っていてくれている君

朝は
果てしなく遠い



夜は

暗い


暗いから
星を眺めている





自由詩 夜の優しさ Copyright 秋葉竹 2019-11-02 16:14:11
notebook Home 戻る  過去 未来