11月のコンサート
日比津 開

名古屋フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会、
メインプログラムのベルリオーズ「幻想交響曲」
は、必ず聴きたい(前半のメンデルスゾーンの
バイオリン協奏曲も楽しみだ)

もう数十年前、大学生のときこの曲を読売日本
交響楽団の演奏会で聴いた思い出は今も少しも
色あせない(前半は、確かマリア・ジョアン・
ピリスの独奏でモーツァルトのピアノ協奏曲第
20番だった)

僕はあまりに演奏、曲にのめり込んでしまい、
コンサート会場から帰りの新宿駅までの道を
フラフラになって、歩くのもやっとだったこと
を覚えている。

それは、この曲が作曲家自身の恋愛、失恋から
産まれ、作品が音楽による最もドラマチックな
物語になっているためで、僕自身がまだ本当の
恋を知らず、まだ見ぬ恋人、恋への憧れをこの
曲の中に探していたこともあるかも知れない。

クラシックの名曲は独創的なものが多いが、そ
の中でも幻想交響曲は桁違いに独創的な作品だ。
僕はこの曲を聴いた感銘を詩に書いたことがある。

僕の青春はもうとっくに遠くへ過ぎ去ってしまっ
たが、人生で最後になるかも知れないパートナー、
恋人を探しているいま、この曲を聴いてもう一度
「夢と情熱」(幻想交響曲の第1楽章の標題)を取り
戻せたら…
 

*第2楽章「舞踏会」のワルツは、もっとも好きな
ワルツ(チャイコフスキーのバレエ音楽のワルツ
よりも)で、踊れない僕でもこんなワルツなら恋人
と踊ってみたくなってしまう。


散文(批評随筆小説等) 11月のコンサート Copyright 日比津 開 2019-10-29 22:59:02
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