紅葉
ミナト 螢

葉っぱを落とした頭は軽くて
シャンプーするのが楽になったから
細長い腕を左右に動かし
僕を呼んでいる姿に見えた

両手で囲んだ幹の大きさは
季節を過ぎると忘れていくけど
側に近付いた時の気持ちは
何に例えたら伝わるのかな

多すぎる言葉は本音を隠し
赤や黄色に染まったふりをして
脱げないドレスを踏まれるたびに
くしゃみのような音が広がった

ほうきで掃いた後の道に残る
落ち葉が破れて震える心に
バイバイまたねと手を振っていた
モミジの指先 風を掴んだ


自由詩 紅葉 Copyright ミナト 螢 2019-10-28 06:40:42
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