キッチン
ミナト 螢

悲しいニュースが朝を囲んでも
カーテンを開けてコーヒーを飲む

いつもと変わらず動ける体は
関節の音を置き忘れた後

いただきますと合わせた両手を
祈りに変えて目を瞑る時間が

遠く離れたあの場所へ届いた
荷物のように高く積み上がる

分かりにくいけどみんな生きている
その中で聞いた呼吸の数だけ
繋いでゆければ開ける扉は
あなたが目指した未来になるんだ

心の形を確かめるために
そっと触れても壊れてしまうなら

卵を割った時に欠ける殻は
きっと誰かの涙なんだろう


自由詩 キッチン Copyright ミナト 螢 2019-10-26 06:37:22
notebook Home 戻る  過去 未来