源氏と平氏
日比津 開

あなたは源氏の白旗に付くか?
それとも平氏の赤旗に付くか?

平氏は清盛のとき、保元、平治の乱に
勝利し、一門栄耀栄華を極めたが
命を助けた頼朝、義経等の挙兵により
壇ノ浦に一族運命を共にし、滅んだ

源氏は為義と義朝、頼朝と義仲、義経
親子兄弟一族の相克を繰り返し
三代将軍で源氏の嫡流は絶え
執権北条氏に取って代わられた

平氏、平家の盛衰は、文学となっている

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす
奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし
猛き者も遂にはほろびぬ
偏ひとへに風の前の塵におなじ

『平家物語』第一巻「祇園精舎」より

滅びの美学がそこには感じられる

源氏には文学的な美意識は
あまり感じられない
武士として一所懸命に生き
武家の頭領として親、兄弟の屍を
乗り越えても敵を倒す
執念のごときものが感じられる

ただ頼朝の前半生は、文学の題材となり得る
平治の乱の際、首切られるところを
清盛の義母、池の禅尼の命乞いにより
伊豆蛭ヶ小島に流され、流人として
生涯を終えるところだった

そこで北条政子と出会い結婚
長い流人生活からようやく脱し
石橋山の戦いに敗れたものの
板東(関東)の武士団をまとめ
遂には平氏を破り
鎌倉に武家政権を建てる

挙兵当時の平氏と源氏の戦力は
ある武士が言って笑われたように
富士山とそこらにある小高い山を
比較するくらい差があった
このあたり、まさに歴史の奇跡
不思議、面白さではないか?

余談が長くなったが、僕なら平氏に
味方する
たとえ、敗れたとしてもー
それは僕自身の人生が源氏のような
親兄弟相克の中にあった悔恨からだ
せめて死のときは、滅びの美学に
徹することができたらー

関門海峡、壇ノ浦の海の底にも
幼い安徳天皇を守る平家一門が築いた
都があるだろうか?


散文(批評随筆小説等) 源氏と平氏 Copyright 日比津 開 2019-10-25 21:58:03縦
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