チャイコフスキー「白鳥の湖」
日比津 開

何度観ても飽きない
バレエ団、プリマ・バレリーナ、演出
振付、舞台装置、衣装が違えば
また違った楽しみ方ができる
  
はじめて「白鳥の湖」を観たのは
大学生のときだった
ソビエト(ロシア)のボリショイ・バレエに
好きだった短大生の女の子を誘った
それまでバレエには何の興味もなかったのに
彼女をデートに誘いたいばかりに
高額なチケットを無理して買った

残念なことに、彼女にはすぐ振られたが
世界最高峰のバレエを観たことが
その後の人生を大きく変えることになった

ジークフリート王子の成人を祝うワルツ
オデットの美しくしなやか幻想的な踊り
オディールのきびきびした魅惑的な踊り
白鳥たちのコールド・バレエ(群舞)
王子と悪魔ロッド・バルトとの戦い

人間の体でこれほど美しく豊かな表現が
できるものかと驚嘆、感激した
それと同時に、オーケストラが奏でる
チャイコフスキーの場面場面
情景を的確に映す音楽に魅了された

それ以来、僕は
交響曲第6番「悲愴」
交響曲第4番、5番
バイオリン協奏曲
ピアノ協奏曲
くるみ割り人形、眠りの森の美女
ーなどチャイコフスキーの名曲から
クラシック音楽の深淵な森に入り
レコード鑑賞、コンサート通いが
一番の楽しみとなった

残念ながら、いまは交響曲などの
チャイコフスキーの管弦楽を聴くことは
少なくなっている

しかし、「白鳥の湖」だけは別だ
どこかで公演があれば、少しくらい遠くても
観に行きたくなる
本当はモスクワのボリショイ劇場へ
観に行きたい

もう少し若かったら…



散文(批評随筆小説等) チャイコフスキー「白鳥の湖」 Copyright 日比津 開 2019-10-25 15:49:42
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