生きている途中だから
こたきひろし

今は生きている途中だけど
たどり着く先は
イヤと言うほどわかってる

そこが終着点か
再生の為の
始発点かはわからないけれど

今は生きている途中だから
手は汚れるし
自ら汚してもしまう

その度に
洗って落としてきたけれど
まっさらな手に還す事はできない

この世界に
産まれ落ちた日の
罪も穢れもなかった手には
還れない

それどころか
私の手にはいつの間にか
悪魔がすみついていた

手が汚れたり
汚してしまった時には
それを洗い流す前に

美しいものに
綺麗なものに
眩しいものに
嫉妬して

罪深く
汚れた手で
触りたくなる
欲求に底知れなく
駈られてしまう
時がある

そこにあるのは
他者を貶めようとする
人間の本質が働く
せいなのか

嗚呼
今は生きている
途中


自由詩 生きている途中だから Copyright こたきひろし 2019-10-25 06:01:58
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