素心

殺意とは海底からくつくつと湧くあぶく

潮のうねりに揉まれ
白波に紛れるように

  混ざり合う
        記録されない日常
  を構成する
         切り捨てられる方を担う私
  の心を満たす
          ほんの少しとろみのある液体
  に
   溶けにくい気体

盲の魚を愛撫する無色の欲求

               集めて
  真っ白な紙風船を膨らませる

    板挟みの私が
          延々
             と

                膨らませて
                膨らませて

、他人につくられた私が握り潰す

静かに
確実に

――人のようであらねばと誰かがいった。


自由詩 素心 Copyright  2019-10-24 19:26:26
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